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2017年4月11日 (火)

幼い命を脅かす『百日せき』 2017年04月11日

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※- 幼い命を脅かす『百日せき』 2017年04月11日

4月10日・NHK website -: “100日もせきが続く?”

そんな特徴的な症状からその名前がついたとされる感染症、「百日せき」。

大人は軽いせき症状だけで気付かないこともありますが、十分な免疫のない1歳未満の赤ちゃんがかかると自力で呼吸ができなくなるなど、死に至ることもあります。

ただ、日本では戦後まもなく始まったワクチンの定期接種によって患者数は大きく減少し、これまで十分な対策が取られてきたと考えられてきました。

ところが専門家の最新の調査によって、年間で推計500人以上の乳幼児が、自力で呼吸ができず人工呼吸器が必要になるなど、重症となって入院している実態が初めて明らかになりました。

ワクチンで予防できるはずの病気に今、何が起きているのでしょうか。

≪ 生後、1ケ月で百日せきに ≫

「かぜ程度にしか思っていなかったのに。なんで生まれたばかりのわが子が…」 そう話すのは、宮崎市に住む原綾子さんです。

去年4月、当時、生後1か月だったまな娘の環寧ちゃんが百日せきにかかりました。

当初は鼻水やせきが中心。医師からも「かぜ」だと診断されていましたが、数日の間に、呼吸しているのかわからなくなるほど、急激に症状が悪化。

あわてて病院に向かったころ、環寧ちゃんはすでに心肺停止の状態に陥っていました。

病院で告げられた病名は「百日せき」。

重い肺炎のほか、脳の表面の血管から出血も確認され、診察を担当した医師によると「当時は命の危険にさらされていた状態だった」ということです。

懸命な治療で退院し、現在、後遺症は見られませんが、脳への酸素の供給が一時的に止まっていたこともあり、発達に影響が出ていないか、今も医師の定期的な診察が欠かせません。

当時の原さんの日記には、「気付いてあげられなくてごめんね」と、娘に謝る日々がつづられていました。 原さんは「なぜ、百日せきで生まれたばかりのわが子が心肺停止になってしまうのか、わかりませんでした。病気について知らなかった自分を責め、後悔しました」と当時を振り返ります。

≪定期接種で“対策済み”のはずが… ≫

環寧ちゃんを苦しめた百日せき。細菌性の感染症で、主に飛沫などを通じて感染し、鼻水やせきなど、かぜのような症状が2週間ほど続きます。

その後、コンコンという乾いたせきが連続し、息を吸うたびに笛のような音が出るのが特徴で、回復には数週間かかります。

戦後まもない1940年代後半には年間の患者数が10万人を超え、乳幼児を中心に発症者の10%が死亡していましたが、1950年にはワクチンの定期接種が始まり、患者数は大きく減少しました。

全国の推計の患者数はここ10年ほどでは1万人ほどの年もあり、ワクチン対策は十分整っていたと考えられてきました。

≪ 年間推計500人以上が命の危険に ≫

ところが、日本医療研究開発機構の研究班が、10の県の病院を対象に、実態調査したところ、去年1年間だけで、全国で推計500人以上の乳幼児が百日せきが重症化して入院が必要となっていたことが明らかになったのです。

このうち80人ほどが、人工呼吸器による治療を受けるなど、多くの乳幼児が命の危険にさらされていました。

調査にあたった福岡看護大学の岡田賢司教授は「本来、ワクチンで防ぐことができる病気なのに年間で推計500人以上が命の危険にさらされているという実態は重く受け止める必要がある。ワクチン対策を見直す時代にきている」と危機感を強めています。

≪ 背景にあるワクチンの“限界” ≫

岡田教授が指摘するワクチン対策の見直し、いったいどういうことなのでしょうか。

日本では、現在、百日せきのワクチンは定期接種となっていて、まず生後3か月以降1歳までに3回接種します。

続いて、3回目を接種してから6か月以上の期間をあけてさらに1回追加接種をすることになっています。

ところが、このワクチンによる免疫の持続期間は一般的に4年から12年とされています。

つまり最短4年なわけで、早ければ小学校に入学するまでにワクチンの効果が低下してしまうこともあるのです。

このため定期接種を終えたはずの家族が学校や職場などで感染し、知らず知らずの間に自宅にいる、十分な免疫を持たない赤ちゃんにうつしてしまうケースが多いと考えられているのです。

海外の研究では百日せきにかかった乳児の75%が、母親を始めとした家族など、周囲の青年や成人層が感染源となっていたとする報告もあります。

≪ 諸外国から遅れる日本・求められる対策は ≫

身近にいる家族が赤ちゃんへの感染源になってしまう百日せき。

欧米などではすでに対策が取られていて、例えばアメリカでは4歳以降に1回、11歳から12歳の間にも追加接種を行っています。

さらに周囲の家族や妊婦、乳児の世話をする機会のある成人などにも接種を推奨するなど、赤ちゃんを感染から守ることを重視した対策が行われています。

一方、日本では百日せきによる重症化の実態がわかりはじめてきたところで、国の審議会でも定期接種の見直しについて議論が行われていますが、まだ結論は見えておらず、専門家は対策の遅れを指摘しています。

≪ ワクチンで防げる病気=「VPD」≫

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百日せきのように本来、ワクチンで防ぐことのできる病気は「VPD」と呼ばれています。

「Vaccine(ワクチンで)ー  preventable(防げる)  diseases(病気)」 の頭文字で、例えば、現在、副作用の問題で日本では定期接種から外れている「おたふくかぜ」なども「VPD」の1つです。

WHO=世界保健機関によりますと2008年の1年間では世界の5歳未満の子ども150万人がVPDで亡くなったと推計されているということで、百日せきはこのうちの13%を占めています。

≪ 私たちに注意できることは? ≫

乳幼児の命を脅かす百日せきですが、ワクチンの定期接種などの制度改正は、今日、あすに変わるわけではありません。

しかし、今からすぐに私たちにできることがあります。

百日せきは過去のデータでは春頃から患者が増え始めるシーズンがあります。

これは新学期や新生活で不特定多数の人と接触する機会が多いことが原因の1つと考えられているからです。

このため、1度ワクチンを打った人は軽いせき症状で病院に行くということは少ないかもしれませんが、特に自宅に赤ちゃんがいる家庭では軽いせき症状でも百日せきを疑って病院で診察を受けることが大切です

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