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2008年12月 1日 (月)

「ダチョウの卵」に注目

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※- 新型インフルエンザ対策に「ダチョウの卵」に注目

 

「ダチョウ抗体」が、新型インフルエンザ対策の“目玉”として注目されている。

 

京都府立大学大学院生命環境科学研究科の塚本康浩教授らは、ウイルスや病原菌を撃退する抗体をダチョウに作らせて、卵黄から分離、精製する大量生産技術を確立。

 

低コスト化の実現に伴い、抗体を塗布したマスクも商品化された。

 

世界規模の大流行(パンデミック)が懸念される新型インフルエンザ対策をはじめ、ダチョウ抗体はさまざまな感染症予防に威力を発揮しそうだ。(中本哲也)

 

抗体は、外部から体内に侵入してきたウイルスや病原菌と結合し、感染力を奪う役割を果たす。

 

従来は、マウスやウサギ、ニワトリに抗原(無害化したウイルスなど)を注射し、体内で作られた抗体を血液や卵黄から分離、精製していた。

 

しかし、生産コストは極めて高く、これまでは医療、研究目的に用途は限定された。

 

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大きな卵、大量生産低コスト

 

塚本さんは家禽(かきん)の感染症を研究していた獣医師。

 

ダチョウの病気治療や健康管理に携わったことが、ダチョウ抗体開発のきっかけだった。

 

「感染症に強く、ニワトリの約25倍の卵を産むダチョウなら、抗体の大量生産が可能かもしれない」

 

着想から約10年、本格的に研究を始めてからは5年でダチョウ抗体の大量生産技術を確立。

 

新型インフルエンザへの変異が懸念される高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)や従来型のインフルエンザ、食中毒を起こすノロウイルスなどの抗体を作り、従来の抗体よりも高い効果が得られることを確認した。

 

「1個の卵から、4グラムの高純度の抗体が採れる。半年で100個ほどの卵を産むので、ウサギ800匹分に相当する抗体が1羽のダチョウから半年で作れます」

 

注射する抗原の量はウサギと同じで、ダチョウは飼育コストも安い。

 

最初は卵の大きさだけに着目していたが、できた抗体はウイルスや病原菌に対する感度が極めて高く、熱にも強い。

 

さらに、1羽のダチョウから多くの抗体が作れるので、品質のばらつきも小さいなど「予想外の長所」を備えていた。

 

これらのメリットを生かして、用途に応じて抗体を加工できるので、工業製品としても広く使える。

 

塚本さんは今年6月、大学主導のベンチャー企業「オーストリッチファーマ」を設立し、ダチョウ抗体の商品化に乗りだした。

 

その第1弾が抗体を塗布したマスクで、福岡県のベンチャー企業「CROSSEED」が今秋から一般向けにも販売を開始した。

 

従来のマスクは、ウイルスや病原菌を網目で捕まえて侵入を防ぐだけだが、「抗体マスク」(商品名)では捕まえたウイルスの感染力を奪うので、通り抜けたウイルスによる感染リスクも低減される。

 

「マスクは医薬品として扱えないので、感染予防効果を大きくPRするわけにはいかないのですけどね」(塚本さん)

 

従来の抗体で同じようなマスクを作ると、1枚が数十万円になってしまう。

 

約4000分の1という驚異的な低コスト化によって、1日ごとに使い捨てられるマスクへの利用が可能になった。

 

マスクに限らず、これまで考えられなかった抗体の利用が可能になる。

 

たとえば、病院などで空調設備のフィルターに使えば、院内感染の防止になる。

 

食中毒をもたらすノロウイルスの抗体を錠剤に加工すれば、トイレの貯水槽などで使えそうだ。

 

今後、新型インフルエンザの危険度が高まれば、抗体の需要は爆発的に高まると予想されるが、「ダチョウ抗体の生産能力は、全世界の需要にこたえられる」と、塚本さんは話している

 

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